千葉県下地域産業保健センター活動の活性化に関する調査研究(平成11年度)

 


研究代表者 千葉産業保健総合支援センター 産業保健相談員 吉田 之好
共同研究者 千葉産業保健総合支援センター 所長 荘司 榮徳
千葉産業保健総合支援センター 産業保健相談員 能川 浩二
大久保 靖司
千葉大学医学部衛生学教室 小林悦子
諏訪園 靖
中沢 哲也
渡辺 美隆
石川 節
大沢 俊雄

 
 
1.はじめに

 
日本の小規模事業場は全事業場の96.7%を占めている(総理府統計局)。これらの事業場における労働衛生の推進のために地域産業保健センター(地域センター)が設置され、その活動を展開してきた。各地域センターにはコーディネーターを配し、その活動の普及、利用の拡大に努めてきた。しかし、地域センター活動の一層の活性化が期待される状況下にある。
 そのため、地域センターの効率的な活性化を図るために、その活動内容を分析し、オペレーションリサーチ手法(Analytic Hierarchy Process AHP法)を用いて各活動の重要度を求め、これを基に期待される地域センターの活動を検討した。
 
2.対象と方法

 
 コーディネーターを中心とした協力者から地域センターの活動のキーワードを抽出し、KJ法を用いて活動を階層構造に分類した。地域センター活性化のための活動階層構造モデルを図1に示す。

 

 

 このモデルを基に、地域センターの活性化にとっての活動の重要度を求めるために、AHP法を用いたペア比較のための質問紙を作成し、コーディネーター、センターを利用したことのある小規模事業場および登録医を対象に配布し、調査を行った。対象者数はそれぞれ9名、119事業場、76名であった。

3.結果

 アンケートの回収率はコーディネーター、事業場、登録医それぞれ、88.9%、60.5%、77.6%であった。 

 表に総合的重要度を表に示す。

 事業場から見て重要度の高い具体的活動には「広報活動」「講習会研修会開催」「利用の簡便化」「関連機関との連携」「スタッフの拡充」が挙げられた。一方、コーディネーターおよび登録医から見た重要度の高い具体的活動には「講習会研修会開催」「事業場訪問」「経営者研修会開催」「登録医の研修」が挙げられ、コーディネーターではさらに「満足度の調査」が、登録医では「関連機関との連携」が挙げられた。

 対象者によって、重要度の高い具体的活動には違いが見られ、中でも「広報活動」「利用の簡便化」「スタッフの拡充は」利用者である事業場では重要度が高いにもかかわらず、コーディネーターや登録医では重要度が低い具体的活動に位置付けられていた。
 また、事業場の規模や利用頻度別の重要度の高い活動は異なることが認められた。規模・利用頻度と関係なく共通して重要度の高い具体的活動は「広報活動」「利用の簡便化」と「スタッフの拡充」であり、30人以下もしくは地域センターの利用頻度が少ない事業場では「デモンストレーション」「関係機関との連携」「事業場訪問」の重要度が比較的高く、30人以上または利用頻度の高い事業場では「講習会研修会開催」「経営者研修会開催」の重要度が比較的高かった。
 階層モデル各層における事業場全体から見た重要度の例を図2に示す。


 
 

4.まとめ
 以上より事業場の規模や過去の利用頻度などを基に各目的に合わせた活動が地域センターの活性化を効率的に進める上で重要であることが示唆される。
 今回の結果は千葉県下の地域センターにフィードバックされ、今後の活動展開に利用される予定である。