認定産業医研修新規受講者の産業医活動に関する調査研究報告書
主任研究者 千葉産業保推進センター相談員 能川浩二

共同研究者 千葉産業保推進センター相談員 城戸照彦

      千葉産業保推進センター相談員 吉田之好

千葉産業保推進センター相談員 仙波正義

千葉産業保推進センター副所長 戸嶋禮助

千葉産業保推進センター所長  荘司榮徳

1 はじめに

 千葉県内では、平成71月末現在、日医認定産業医が633名おります。又、新たに研修を受講し資格を得ようとしておられる医師も多数おられますが、これらの医師の受講の動機とか今後の産業医活動への意欲や希望などを調査することはこれからの産業保健の推進に貴重な資料を提供するものと考えられます。

2 対象と方法

 対象は、平成6年度に千葉県医師会が主催した産業医研修の内、910日、1030日の研修会に参加した計90名と、東葛地区医師会が921日に開催した研修会に参加した27名の117名で、質問票を研修当日のに配布し、自己記入形式で回答していただき、終了時に回収したものです。

 受講生の性別、年齢別は次のとおりで、平均年齢は男性50.8才、女性は40.6才でした。

 なお、受講生の診療科目別には内科が45%、外科18%、整形外科6%、放射線科5%、産婦人科5%などといった順序であった。

3 結果

(1)産業医契約受講、男性では34%、女性では25%が、すでに産業医契約を結んでいると回答がありました。年代別の契約率は図のとおりです。

(2)1医師当たりの産業医契約件数(予定含む)予定を含めた産業医契約件数は男性62%が1事業所、17%が2事業所、19%が3〜4事業所で、5〜9事業所と回答されたのは1名だけでした。年代別に分類した契約件数は図のとおりです。

(3)適当と考える産業医契約の件数男性で一番回答率のかったのは3〜4事業所で46%、第2位は2事業所の30%、女性は67%が1事業所で、33%が2事業所でした。年代別には図のとおりです。

(4)産業医活動の中で関心のある業務関心のある業務として9項目中2項目を回答してもらい受講者117名を母数として回答率を図で示すと次のとおりです。

(5)産業医活動の中で難しいと思われる業務(4)と同様に2項目回答で得られた結果は図のとおりで、「作業環境の改善」(66%)と「作業方法の改善」(52%)とが特に高い回答率でした。

(6)日医認定産業医研修を受講した動機(5)と同様に2項目回答で得られた結果は図のとおりで、最も高かったのは「予防医学への関心」(42%)、2番目は「産業医を将来の仕事と考えて」(40%)、続いて「生涯教育の一環として」(38%)、「日常診療で必要性を感じて」(33%)の順でした。

4 考察

 今回の産業医研修の受講者の特徴は、第一に、性別的には全体の約1割とまだ少数ではあるが、産業医を目指そうとする意欲のある女医が現れてきていることです。また、産業医契約の件数並びに今後の予定件数では、1事業所との回答が最も多くありましたが、適当と考える産業医契約の件数では、男性では3〜4事業所、女性では1事業所が最も多く、かなりの相違が見られました。産業医活動の中で関心のある業務は、「健康相談」、「健康診断の事後措置」、「健康保持増進活動」であり、反対に難しいと思われている業務としては「作業環境の改善」、「作業方法の改善」が上げられており、このことから産業医活動は健康管理の分野から入って、次第に事業所の状況を把握していく中で作業環境管理や作業管理へ力点を変えていくことが望ましいのであろうと考えられます。

 研修受講の動機としては、「予防医学への関心」、「生涯教育の一環」といった学問的な関心での受講と、「産業医を将来の仕事と考えて」、「日常診療での必要性を感じて」といった実用性を主に考えての受講との大きく2つに分かれていました。