独立行政法人 労働者健康安全機構 千葉産業保健総合支援センター

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ちば産保コラム

  • 第2章 特定業務従事者健診(安衛則第45条)と胸部エックス線検査

    相談員コラム

    宮本相談員 新日本製鐵(株)君津製鉄所産業医

     

    (2)特定業務従事者健診(安衛則第45条)と胸部エックス線検査


    もうひとつの問題として、前述の特定業務従事者健康診断(安衛則第45条)に関する問題があります。今回の改正は安衛則第44条に係るものですが、安衛則第45条第1項には、「事業者は、…(中略)…六月以内ごとに1回、定期に、第44条第1項各号に掲げる項目について医師による健康診断を行わなければならない。この場合において、同項第4号の項目(胸部エックス線検査及び喀痰検査)については、一年以内ごとに1回、定期に、行えば足りるものとする。」とあります。一方、安衛則第45条第3項には「第44条第2項(第1項第3号、第4号、第6号から第9号まで及び第11号に掲げる項目については、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、省略することができる。)及び第3項の規定は、第1項の健康診断について準用する。」とあります。


    つまり、安衛則第45条第1項に従えば特定業務従事者健診対象者では胸部エックス線検査は一年以内ごとに1回行うように読み取れますが、同条第3項では第44条と同様に省略しても良いように読めます。行政はこの解釈をまだ示していません。


    しかし、胸部エックス線検査というデリケートな問題は、むしろ行政に画一的な回答を求めるのではなく、マネジメントシステムとして各事業者・産業医が自主的な判断をしても良いのかもしれません。そうだとすると、法文の解釈の理由さえ述べることができれば、どのような解釈であれ、事業者の自己責任の範囲で問題はないことになります。


    つまり、安衛則第45条の対象者は、年1回の胸部エックス線検査を「省略不可」と考えるもよし、第44条と同様に「省略可能」と解釈して(医師が必要ないと認める前提で)省略してもよし、となって共に問題がないことになります。


    ただし結果については事業者が個別に責任を負うことになるのかが不明です。法の規定である以上は、通常は国が責任を負うからです。このへんは謎が多くて実行に踏み切るのに勇気が必要な気がします。


    本当に悩ましいですね!